■直観幾何学研究会2024(その24)

複数の棒を互いに結合してできる連接棒を「リンク装置」と呼びます.パンタグラフのようなリンク装置を利用すると拡大・縮小が可能になりますが,たとえば,円錐曲線をすべて描けないかという問題も生まれてきます.

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【1】三線・四線問題

ユークリッドが考察していたとされ,アポロニウスが取り上げ,パップスが成果をあげた

[1]三線問題:ひとつの直線への距離の平方が,ほかの2直線への距離の積に対して与えられた比をもつ点の軌跡を求める問題

[2]四線問題:1組の直線への距離の積が,ほかの2直線への距離の積に対して与えられた比をもつ点の軌跡を求める問題

の軌跡は円錐曲線です.与えられた直線が3本ないし4本の場合,リンク装置の一点を直線に沿って動かすと,円錐曲線を作図できる.

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【2】ケンペの万能定理

デカルトはn本の直線の場合に一般化し,完全な解答を与えました.すなわち,3本ないし4本の直線が与えられたときには2次曲線になり,5本ないし6本(五線問題,六線問題)では3次曲線になり,直線が2本加わるたびに次数が1次増加します.

さらに驚いたことにリンク装置の一点を直線や曲線に沿って動かすとき,任意の高次代数曲線を描くことができる.実際,2次曲線のみならず高次曲線作図器も製作されていて,たとえば,ヤコブ・ベルヌーイのレムニスケート(4次曲線)は単純なリンク装置を使って描くことができます. 

さらに,尖点があってもかまわないし,いかに複雑な変化のある曲線でも描くことができます.あなたの名前をサインするリンク装置が存在するというわけです.

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