■直観幾何学研究会2024(その7)
判別式を求める方法は大別して2通りあるが,終結式を使う方が簡単であろう.
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[1]差積
n次方程式:
f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an=a0Π(x−αi)=0
が重根をもつためには,判別式:
D(f)=a0^(2n-2)Δ^2=0
が必要十分条件である.ここで,
Δ=Π(αi−αj) (1<=i<j<=n)
はα1,・・・,αnの差積を表す.
差積Δは対称式ではないが,Δ^2は対称式であるから,基本対称式の多項式として表される.
2次方程式f(x)=ax^2+bx+c=0の判別式は,
D=a^2(α1−α2)^2=a^2{(α1+α2)^2−4α1α2}
この場合の根と係数の関係は
α1+α2=−b/a,α1α2=c/a
が成り立つから,
D=b^2−4ac
はf(x)=ax^2+bx+cの判別式であることはよく知られている.
3次方程式の判別式は,
D=(α1−α2)^2(α1−α3)^2(α2−α3)^2
ax^3+bx^2+cx+d=0の係数を代入して整理すると,
D=−4ac^3−27a^2d^2+18abcd+b^2c^2−4b^3d
が得られるが,とても憶える気にならないし,また,憶えられる代物でもないであろう.
4次方程式の判別式は,
D=(α1−α2)^2(α1−α3)^2(α1−α4)^2(α2−α3)^2(α2−α4)^2(α3−α4)^2
fの次数が高い場合,その判別式を計算するのは容易ではない.ちなみに,5次方程式の判別式の項数は59にもなるという.
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[2]シルベスターの終結式
f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an-1x+an
g(x)=b0x^m+b1x^(m-1)+・・・+bm-1x+bm
が共通因子をもつための必要十分条件は,n+m次の行列式:Res(f,g)
|a0 a1・・・an・・・・・・0|
|0 a0 a1・・・an・・・0 |
|・・・・・・・・・・・・・・・ |
|0・・・・・・a0 a1・・・an|=0
|b0 b1・・・bm・・・・・・0|
|0 b0 b1・・・bm・・・0 |
|・・・・・・・・・・・・・・・ |
|0・・・・・・b0 b1・・・bm|
よく知られているようにf(x)=0が重根をもつためにはf(x)=0,f’(x)=0が共通根をもつことである.したがって,
Res(f,f’)=0
は,f(x)=0が重根をもつための必要十分条件条件である.
(例)f(x)=ax^2+bx+c,f’(x)=2ax+bのとき,3次の行列式
|a,b,c|
|2a,b,0|
|0,2a,b|
Res(f,f’)=−a(b^2−4ac)
このように,Res(f,f’)に方程式の判別式が出現するのは当然のことである.
(例)f(x)=ax^3+bx^2+cx+d,f’(x)=3ax^2+2bx+cのとき,5次の行列式
|a,b,c,d,0|
|0,a,b,c,d|
|3a,2b,c,0,0|
|0,3a,2b,c,0|
|0,0,3a,2b,c|
D=−4ac^3−27a^2d^2+18abcd+b^2c^2−4b^3d
(例)f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e,f’(x)=4ax^3+3bx^2+2cx+dのとき,7次の行列式
|a,b,c,d,e,0,0|
|0,a,b,c,d,e,0|
|0,0,a,b,c,d,e|
|4a,3b,2c,d,0,0,0|
|0,4a,3b,2c,d,0,0|
|0,0,4a,3b,2c,d,0|
|0,0,0,4a,3b,2c,d|
(例)5次方程式→9次の行列式
(例)6次方程式→11次の行列式(判別式の項数は7867項にもなるという.
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