■直観幾何学研究会2024(その4)
[Q]sに関する3次方程式
s^3+xs^2+ys+1=0
が1つの実数解と1組の重根をもつ範囲を図示せよ.
===================================
[A]解は4x^3+4y^3−x^2y^2−18xy+27=0のグラフを描けという問題に言い換えることができる.
高次代数方程式がうまく媒介変数表示できるのは,きわめて特殊な例外的な場合にに限られます.しかしながら,この場合,
x=1/t^2−2t,y=t^2−2/t
のような媒介変数表示が可能です.
確かめてみましょう.
x+y=(t^2+1/t^2)−2(t+1/t)
xy=5−2(t^3+1/t^3)
T=(t+1/t)とおいてもよいが
x^3+y^3=(t^6+1/t^6)−14(t^3+1/t^3)+24
x^2y^2=4(t^6+1/t^6)−20(t^3+1/t^3)+33
より,
4(x^3+y^3)−x^2y^2=−36(t^3+1/t^3)+63
=18xy−27
===================================
[1]3次曲線のパラメータ表示例
デカルトの正葉線x^3−3axy+y^3=0(a>0)では,y/x=t,すなわちy=txとおくことによってパラメータ表示の形に書くことができます.
x=3at/(1+t^3),y=3at^2/(1+t^3)
この3次曲線は重根をもち,原点(0,0)が特異点になります.
しかし,このままではtとの対応が悪く
x=3a(1−t)(1−t^2)/2(1+3t^3),
x=3a(1+t)(1−t^2)/2(1+3t^3),
の方がきれいに描くことができます.
同様に,特異点をもつy^2=x^3やy^2=x^2(x+1)は楕円曲線ではありません.前者は(t^3,t^2),後者は(t^2−1,t(t^2−1))とパラメトライズできます.
[2]4次曲線のパラメータ表示例
レムニスケートは
x=t(t^2+1)/(1+t^4)
y=−t(t^2−1)/(1+t^4)
のようにパラメトライズすることができます.
===================================