■素数と無限級数(その181)

【3】分割関数の明示公式

 分割数を求めるには,五角数を利用したオイラーの方法があります.

  p(n)-p(n-1)-p(n-2)+p(n-5)+p(n-7)-p(n-12)-p(n-15)+・・・=0^n

ただし,n=0のとき0^n=1,nが正のときは0^n=0とします.符号は2つずつ組になって反転していますが,それにしても不思議な公式です.

 また,分割数は,以下の公式によって代数的に定義することもできます.

  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)=Σp(n)x^n

 f(x)は分割関数p(n)の母関数ですが,オイラーの五角数定理

  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))

により

  x^(1/24)/f(x)=Σ(-1)^nx^((6n-1)^2/24)

したがって,左辺はデデキントのイータ関数の定義そのもの,また,右辺は確かにテータ級数(ベキが平方数であるような交代級数)であることがわかります.なお,三角関数に対応する楕円関数sn,cn,dnがヤコビの楕円関数と呼ばれるのに対して,指数関数に対応するのがヤコビのテータ関数で,ヤコビはテータ関数:

  θ3(z)=1+2Σq^(n^2)cos(2nπ)

などを使って,楕円関数を表すことにも成功しています.

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 分割関数p(n)は整数値をとりますが,分割数を表す簡単な公式はありません.しかし,ラマヌジャンが予想した注目すべき近似式が知られています.

  p(n) 〜 1/4n√(3)exp(π√(2n/3))

 インド生まれの数学者ラマヌジャンは,多くの公式や定理を発見し,神秘的な東洋の天才数学者とよばれていて,1日1つの割合で新しい公式または定理を発見したといわれています.ラマヌジャンは,素数と同じくらい風変わりな数として高次合成数の性質について探求しています.合成数とは素数でない数のことで,高次合成数とは24のように1,2,3,4,6,8,12,24と多くの約数をもつ数のことです.

 その後,分割関数はラーデマッハーによって修正され,完全な明示公式が与えられました(1937年).

  p(n)=1/π√(2)Σk^(1/2)Ak(n)d/dn{sinh(πλn√(2/3))/λn}

 この明示公式には,1の24乗根が使われていますが,24は代表的な高次合成数になっています.

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