■シンク関数の2分割(その64)
球に相当するn次元の図形を超球と呼びます.n次元単位超球{x12+x22+・・・+xn2≦1}の体積をVnとすると,V1=2(直径),V2=π(面積),V3=4π/3(体積)はご存知でしょう.n次元単位球はどんなに次元が高くても,長さが2より大きな線分を含むことはできません.
したがって,n=2,3,4では単位立方体(対角線の長さ√n)は単位球体の中に含まれますが,n≧5でははみ出る部分があり,次元とともにはみ出る部分が増えていきます.単位球体の直径は次元によらず2なのです.
n次元単位超球の体積Vn,その表面積を表面積Sn-1とすると,単位超球の表面積Sn-1はnVn,半径rのn次元球の体積はVnr^n,表面積はnVnr^(n-1)となります.n次元単位超球の体積Vnを求めてみると,
Vn=π^(n/2)/Γ(n/2+1)
を得ることができます.また,Γ(m+1)=m!より,この結果は,形式的に
Vn=π^(n/2)/(n/2)!
と書くことができます.
Vn-1がわかれば,Vnは漸化式:
Vn/Vn-1=Γ(1/2)Γ{(n+1)/2}/Γ(n/2+1)=B(1/2,(n+1)/2)
によって求めることができますが,この計算は面倒ですから,Vn-2との漸化式
Vn/Vn-2=2π/n
を用いると任意のnに対して
nが奇数であれば,Vn=2(2π)^((n-1)/2)/n!!
nが偶数であれば,Vn=(2π)^(n/2)/n!!
とも書けることも理解されます.1次元から6次元までを具体的に書けば,
Vn=2,π,4π/3,π2/2,8π2/15,π3/6
という具合に,πのべき乗は偶数次元になるたびに1つあがります.
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そして,n→∞のとき,
Vn/Vn-2=2π/n→0
Sn-1/Sn-3=nVn/(n-2)Vn-2=2π/(n-2)→0
ですから,不思議なことに,単位球面の体積や表面積はn→∞のとき0に収束するのです.
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