■こんなところにもチェビシェフ多項式が現れる(その42)
与えられた関数f(x)に対して与えられた区間[−h,h]上で,n−1次多項式:g(x)=p0+p1x+p2x^2+・・・+pn-1x^n-1とのズレ
h(x)=|f(x)−g(x)|
の最大値を最小にするパラメータの値を求める最良一様近似(ミニマックス近似)の問題を考える.
有理分数式g(x)=p(x)/q(x)を用いて最良近似する問題も含め,このような一様計量はチェビシェフ計量と呼ばれていて,最小2乗法の計量とは異なる.
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【1】最良近似
特殊な場合として,最高次数の係数が1のn次多項式
f(x)=x^n+p1x^n-1+・・・+pn
で,ゼロからの偏差が最小の多項式を求める問題を考えよう.もし解が存在するならば,L=max|f(x)|としてf(x)の値の絶対値がLに等しく,n回符号が交代する点が存在することが必要である.
そのためには,g(x)=(1/n)f’(x)(すなわち最高次数の係数が1のn−1次多項式)として恒等式
|f(x)|^2−L^2=(x^2−h^2)|g(x)|^2
が成り立たなければならない.
f(x)−(x^2−h^2)^1/2g(x)=L^2/(x^2−h^2)^1/2f(x){f(x)+(x^2−h^2)^1/2g(x)}
と書き換えて,1/(x^2−h^2)^1/2の連分数展開すると
f(x)={(x+(x^2−h^2)^1/2)^n+(x−(x^2−h^2)^1/2)^n}/2^n
ここで,x=hcosθとおくと
f(x)=h^n/2^n-1・cosnθ=h^nTn(x/h)
Tn(x)=1/2^n-1・cos(narccosx)
という形をとることがわかる.
[注]多少修正した記号を使う場合もあるので,注意!
L=h^n/2^n-1
零点は−h=x1=hcos(nπ/n),x2=hcos((n−1)π/n),・・・,xn+1=hで与えられる.
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