■正多角形の作図と原始根(その82)

はじめのp-3個のベルヌーイ数のうちのどれか一つの分子を割り切る素数。

37はB32の分子を割り切る

59はB44の分子を割り切る

67はB58の分子を割り切る

691はB12の分子。したがって、691は非正則な素数である。

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【1】クンマーの定理

フェルマーの最終定理の最初のブレークスルーは1851年,クンマーによってなされました.クンマーは円分体の整数論の研究に専念し,正則素数であるすべてのnに対してフェルマー予想が成立することを示したのです.正則素数pはBp-3 までのベルヌーイ数B1,B2,・・・,Bp-3 の分子を割り切ることのできない素数として定義されていて,100以下の非正則素数は37,59,67ですべてですから,この3つの数以外では100までのnに対してフェルマー予想が正しいことが証明されたことになります.

クンマーの定理

フェルマー方程式x^p+y^p=z^pが非自明解をもつためには,

  Bk=0   (mod p)

  0<k<1/2(p−3),B1=0,・・・,Bp-3=0

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x以下の非正則素数の数をI(x)と記すと

  I(x)/π(x)〜1-exp(-1/2)=0.39346・・・

正則素数の密度はexp(-1/2).イェンゼンは非正則素数が無限個あることを証明した.一方,正則素数が無限個あることはいまだ証明されていない.

 マッキントッシュはベルヌーイ数Bp-3の分子を割り切る素数はウォルステンホルム素数であることを示した.ウォルステンホルム素数でいまのところ既知のものは16843と2124679だけで,p=16843,2124679はBp-3の分子を割り切るのである.

クンマーの定理により,新たに

  x^11+y^11=z^11

  x^13+y^13=z^13

  ・・・・・・・・・・

の場合の解の非存在がわかったわけですが,たとえば,691の場合,

  x^691+y^691=z^691

に自然数解のないことはクンマーの定理からは証明できません.691は非正則素数691であり,ζ(12)/π^12の分子が691で割り切れるからです.

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