■色のない虹(その1)

過剰虹とは色のない虹のことであった。ここでは主として色もない形もない架空の虹の話を取り上げたい。

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【1】君は円い虹を見たか?

 雨が降った後,空が清らかに晴れてきても空中には無数の小水滴が浮遊している.これに太陽光線が入射すると,光の分散が起こり虹を生ずる.透明でさえあればどのような物質からできていても光の分散は起こる.虹の美しさは,幼児のような素朴で純粋な心に深い感動を与えるものだが,古来より,虹はなぜできるか,虹はなぜあのようにみえるか等々,なぜこうなっているのかという科学的研究に駆りたててきた. 

 水(屈折率≒4/3)であっても,ガラス(屈折率≒3/2)であっても虹はできるのであるが,反射する球体の屈折率が2以上の場合,たとえばダイヤモンド(屈折率=2.42)の場合,虹のできる様子は水滴の場合とはかなり異なってくる.どのような透明体であっても差し支えないわけではなく,水の屈折率が1.3程度であったおかげで,われわれは美しい虹を見ることができるのである.

 

 さて,虹の形は半円状(滝や散水しているときは弧状)が普通であるが,私は山間の渓谷にかかる吊り橋の上から,円形の虹を見たことがある.とても,神秘的に感じられる光景であった.一般に,虹は2次曲線となるのである.

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