■もうひとつのファイゲンバウム定数(その10)
【4】ロジスティックモデル(2)
さらに,ロジスティック写像
xn+1=f(xn)=kxn(1−xn)
を考える.0≦xn≦1,0≦k≦4
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[1]固定点
x=kx(1−x)を満たすから,x=1−1/k
原点x=0はすべてのkに対して固定点
x=1−1/kはk≧1に対してのみ,xの許容範囲内にある
[2]安定性
f’(x)=k−2kx
f’(0)=kなので,原点はk<1のとき安定,k>1のとき不安定
x=1−1/kは
f’(1−1/k)=k−2k(1−1/k)=−k+2
より,k<3のとき安定となる.
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放物線はk<1ではy=xより下にあり,原点が唯一の固定点である.kが増加すると放物線の背が高くなり,k=1のとき,y=xに接する.k>1になると,放物線は2つ目の固定点で交差し,一方,原点は安定性を失う.
さらにkが増加すると固定点x=1−1/kにおける傾きはますます急となり,k=3のとき,
f’(1−1/k)=k−2k(1−1/k)=−k+2
は臨界点f’(1−1/k)=−1に達して,安定性を失う.
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k=3では周期倍分岐を伴う.
x1=f(x0)=kx0(1−x0)
x2=f(x1)=kx1(1−x1)=k^2x0(1−x0)(1−kx0(1−x0))
は4次多項式であるが,
x=0,1−1/k
が固定点であることがわかっているので,2次方程式に簡略化される.
残りの2根は
{(k+1)±{(k+3)(k+1)}^1/2}/2k
したがって,k>3ならば実根となり,2周期軌道が存在することがわかる.
k=3において,2根は一致(x=1−1/k=2/3)する.逆に,k<3ならば2周期軌道は存在しないことを意味する.
この2周期軌道は3<k<3.44(=1+√6)ならば2つの極限値の間を振動する(周期2のサイクル).すなわち,安定であることが以下のようにして示される.
{(k+1)±{(k+3)(k+1)}^1/2}/2k
の2根をp,qとおく.
f^2(x)=f(f(x))=k^2x(1−x)(1−kx(1−x))
をxで微分すると
λ=f’(f(x))f(x)
pの分岐とqの分岐が同時に起こるとすると
f’(f(p))f(p)=f’(f(q))f(q)
λ=k(1−2p)k(1−2q)
=k^2(1−2(p+q)+4pq)
=4+2k−k^2
よって,2周期軌道は
|4+2k−k^2|<1→3<k<1+√6において安定である.
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[1]k=2.5のとき,0.6に落ちつく.
f(0.6)=2.5×0.6(1−0.6)=0.6
2.5x(1−x)=x→x=0.6
[2]k=2.8のとき,0.642857に落ちつく
2.8x(1−x)=x→x=0.642857
[3]k=3.2のとき,
s=0.799455とt=0.5130455の2つの値の間を振動する,すなわち,
f(s)=t,f(t)=s
[4]k=3.52のとき,4つの値の間を振動する,
[5]k=3.9のとき,きれいなパターンに落ちつくことはない
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