■もうひとつの14面体(その14)

 オイラーの多面体定理を使うと

[1]2次元泡細胞の辺数の平均は≦6であり,すべての泡細胞が6辺以上の辺をもつことは不可能である

ことが証明される.

(証)pを辺数の平均とする.qをひとつの頂点に集まる面数の平均とする.

  pF=2E

  qV=2E≧3V

  2E≧3V→E≦3(V−E)

 無限に広がる平面の多角形充填を考える問題であるが,個の問題はトーラス面上の多角形充填と同値であるから,

  V−E=F

 したがって,

  pF=2E≦6(V−E)=6F→p≦6

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 3次元の場合の同様の性質は

[2]3次元泡細胞の面数の平均は≦14であり,すべての泡細胞が14面以上の面をもつことは不可能である

 2次元細胞の多くは6角形であり,3次元細胞の多くには14面体であることはわかったが,4次元,5次元,・・・,n次元での空間充填多面体の基本形はどうなるのだろう? どのような形になるのかを知る人は(たとえいたとしても)非常に少ないであろう.

[1]n次元空間充填では,各頂点の周りに少なくともn+1個の多面体が集まる(ルベーグ).

[2]n+1個のとき,空間充填の基本細胞の面数は最大2(2^n−1)個で,安定な空間充填となる(ミンコフスキー).

 すなわち,平行多面体の最多面数は2次元では6角形,3次元では14面体,4次元では30胞体,5次元では62房体となるのである.その証明はミンコフスキーやボロノイによってなされている.

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