■素数もろもろ(その18)
2次体Q(√d)に対して
S={p:p≦M,χ(p)≠−1}
とおくと,Hはイデアルpと素数pの類によって生成されます.
素数pは
χ(p)=0 → p=(p,a+ω)^2
χ(p)=1 → p=(p,a+ω)(p,a−ω)
のように素因子(基底による表示)に分解されるのですが,その際,ωの最小多項式P(x)をmodpで分解することにより,pの2次体における分解を具体的に求めることができます.
d=199の場合に,上の手続きを実行してみましょう.
199=3(mod4),ω=√199,D=4・199
M=1/2√D=√199=14.1・・・
ですから,p=2,3,5,7,11
p : 2 3 5 7 11
χ(p): 0 1 1 −1 1
したがって,S={2,3,5,11}
以下には有限体上の因数分解は用いられているのですが,
p=2: P(x)=x^2−199=x^2+1=(x+1)^2
→ p2=(2,1+ω)
p=3: P(x)=x^2−199=x^2−1=(x−1)(x+1)
→ p3=(3,ω−1)=(3,2+ω),p3'=(3,1+ω)
p=5: P(x)=x^2−199=x^2+1=(x+2)(x+3)
→ p5=(5,3+ω),p5'=(5,2+ω)
p=11:P(x)=x^2−199=x^2−1=(x+1)(x−1)
→ p11=(11,ω−1)=(11,10+ω),p11'=(11,1+ω)
これより,イデアル類群はp2,p3,p5,p11の類で生成されることがわかりました.Hの構造はこれらの生成元の間の関係を調べあげることによって定まります.とはいっても,肝心の所は割愛せざるを得ないのですが,このあとさらに検索を続けることによって4つの生成元p2,p3,p5,p11がすべて〜1となり,Q(√199)の類数は1であることが確かめられます.
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