■素数もろもろ(その17)
【5】2次体のイデアル類群の構造
ここでは,本質的にはミンコフスキー定数
M=1/2√D (実2次体)
M=2/π√-D (虚2次体)
だけを用いて,類数のみならず,2次体のイデアル類群Hの構造を決定する方法を紹介します.
2次体Q(√d)には,各素数pに対して(0,1,−1)を値にもつクロネッカーの指標χ(p)があり,
χ(p)=0 (分岐)
=+1 (完全分解)
=−1 (pは2次体でも素)
と定義されます.
具体的には,
p|D → χ(p)=0
p≠2 → χ(p)=(D/p)
p=2 → χ(p)=(−1)^{(D^2-1)/8}
のように計算されるのですが,
p=2 → χ(p)=(−1)^{(D^2-1)/8}
はd=1(mod4)のときのみに起って,右辺は第2補充法則によっています.
(a/p)=a^{(p-1)/2} (mod p) (オイラー規準)
(−1/p)=(−1)^{(p-1)/2},p≠2 (第1補充法則)
(2/p)=(−1)^{(p^2-1)/8},p≠2 (第2補充法則)
すなわち,オイラー規準において,(−1/p)に関するものが第1補充法則,(2/p)に関するものが第2補充法則と呼ばれます.
クロネッカーの指標はルジャンドル記号の計算に還元されるのですが,オイラー規準は法pに関するa^{(p-1)/2}の剰余を求めなければならないため,pが大きいとき(a/p)を決定するのはかなり大変です.
それに対して,
(q/p)(p/q)=(−1)^{(p-1)/2}{(q-1)/2}
が有名なガウスの平方剰余の相互法則で,(a/p)はガウスの相互法則を用いてすばやく計算することができます.
===================================