■素数もろもろ(その12)

【7】虚2次体の類数

 

 類数1をもつ実2次体は無限に多く存在すると予想されていますが,それに対して,ガウスは類数hの虚2次体Q(√d)は有限個しかないと予想しました.

 

 また,ガウスは類数の理論を発展させ,d<0とし,tをDの相異なる素因数の個数とするとき,2^(t-1)はQ(√d)の類数を割り切ることを証明しました.これは類数の整除性に関して得られた最初の結果です.したがって,h=1ならば

  D=−4,−8または−p  (p=3 mod4)

となって,d=−1,−2または−pが求まります.

 

 以下,定符号形式(D<0)に関する類数問題の解について説明します.とはいっても,類数の具体的な計算(ディリクレの類数公式)については割愛しますが,1966年に,ベイカーとシュタルクが独立に類数1の虚2次体Q(√d)をすべて決定し,ガウスの予想は肯定的に解決されました.

  |D|=3,4,7,8,11,19,43,67,163

 

 すべてのh≧1に対して,類数hをもつ虚2次体Q(√d)は有限個しか存在しないことがわかったのですが,その後,次の課題である類数2をもつ虚2次体が探索されました.そして,1971年,ベイカーとスタークはそれぞれ独立にh(D)=2となるのは,

  |D|=5,6,10,13,15,22,35,37,51,58,

     91,115,123,187,235,267,403,427

の場合に限ることを証明しました.

 

 同様に,類数3をもつすべての2次体を決定することができるのですが,このような2次体は全部で16個あり,

  |D|<=907

また,類数4をもつ2次体は54個あり,

  |D|<=1555

となることが示されています.こうして,与えられた類数をもつ2次体の個数が次々と計算されてきたのです.

 

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