■素数もろもろ(その11)

【6】類数

 

 2次体の理論は,ガウスによる2元2次形式

  ax^2+bxy+cy^2   (D=b^2−4ac)

の研究から始まりました.a>0,D<0ならば,すべての実数x,yに対して

  ax^2+bxy+cy^2

は正となります.これを正定値(positive definitive)2次形式といいます.

 

 ここで,D=0または1(mod4)となり,

  D=0(mod4) → d=D/4

  D=1(mod4) → d=D

とおきます.

 

 Q(√d)はイデアルの同値類を有限個しかもたないのですが,イデアル類の個数をh=h(d)と表し,Q(√d)の類数と呼びます.類数1をもつというのは,Q(√d)のすべてのイデアルが単項であること,すなわち,2次体Kのすべての代数的整数が,Kの素数の積として表され,その表現が単数(1の約数となる整数)を無視して,一意であることをいいます.

 

 別の言葉でいうと,類数とはすべての数体に付随した不変量(自然数)であって,たとえば,有理数体Qは類数1をもち,ガウスの数体Q(i)も類数1をもちます.類数1をもつ数体はQと類似した数論的性質をもつのですが,大きな類数をもつ数体はQとかなりかけ離れた性質をもっているというわけです.

 

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