■素数もろもろ(その9)
【3】2次体
以下,理解に必要な基本的事項を整理しておきます.虚2次体の類数の話にはいる前に,2次体についておさえておきましょう.
説明するまでもないかもしれませんが,整数の比で表せない数を無理数(例:√2)と呼びます.いい換えれば,整数係数の1次式の根にはならない数が無理数なのです.無理数の中でも,整数係数多項式の根となる数が代数的数(例:3√5はx^3−5=0の根)であり,それに対して,超越数とは,整数係数のどのような代数方程式の根にもならない数(例:π,e)のことです.代数的数の全体をQ~と書くことにします.
一方,αが代数的整数であるとは,整数係数のモニック多項式
f(x)=x^n+a1x^(n-1)+・・・+a0
に対して,f(α)=0となることです.代数的整数の全体をZ~と書くことにします.
また,体Kにf(x)=0の根αを添加した体をK(α)と書きます.複素数体Cは実数体Rにx^2+1=0の根iをつけ加えたR(i)であり,Cの元は
a+bi (a,bは実数)
と一意に表されます.
同様にして,x^2−d=0の根√dを添加して得られる体K(√d)を考えることができます.2次体K(√d)の元も一意的に
a+b√d
の形で表されます.
K=Q(有理数体)のとき,一般に0,1以外の平方因数をもたない整数d,すなわち,
−1,±2,±3,±5,±6,±7,±10,・・・
によって,Q(√d)は体になります.
Q(√d)を有理数体Qの2次拡大体とするとき,a+b√dの共役数をa−b√dで表します(d<0ならば通常の複素共役である).K=Q(√d)とすると,ある整数m,nが存在して,
α^2+mα+n=0
を満たすとき,αを代数的整数というわけですが,
α=a+b√d
が代数的整数であるかどうかは,αのノルムとトレースがともに整数であることが必要十分条件ですから,次のようにして判定することができます.
d=2,3(mod4)→{a+b√d|a,bは整数}
d=1(mod4) →{(a+b√d)/2|a,bは整数,a=b(mod2)}
すべての代数的整数αが一意に
α=mα1+nα2
と表されるとき(すなわち,2次元ベクトル空間),{α1,α2}を標準基底というのですが,標準基底を{1,ω}とすると
d=2,3(mod4) → ω=√d
d=1(mod4) → ω=(1+√d)/2
で与えられます.
すると,代数的整数の集合
A(ω)={a+bω|a,b,は整数}
は,加法および乗法に関して閉じて環になります.このA(ω)を2次体Q(√d)の整数環と呼びます.
また,判別式は
D=[Tr(α1^2),Tr(α1α2)]
[Tr(α1α2),Tr(α2^2)]
は基底の選び方には依存しない整数であり,
d=2,3(mod4)→ D=4d
d=1(mod4) → D=d
となります.
したがって,D=0または1(mod4)となることがわかります.また,これより,平方因数をもたない整数d(≠0,1)の集合,2次体の集合,基本判別式の集合の間には,それぞれ全単射対応があることになります.
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