■素数もろもろ(その5)

【4】素数生成式

 

 オイラーは素数をかなりの確率で生成する公式

  n^2+n+41

を発見しています.この公式はn=0のとき素数41,n=1で素数43,n=2で素数47を与えます.このようにしてnが0から39までのどのnをとってもオイラーの公式はすべて素数を与えます.オイラーの公式はn=40で1681=41^2となって破綻しますが,1000万以下のnに対して47.5%の確率で素数を生成します.

 

 この事実を確認するのは簡単ですが,しかしオイラーはどうやってこんな事実を見つけだしたのでしょうか.また,そうなる真の理由は何でしょうか.

 

 この点について,p(x)が0≦x≦l−2なるすべてのxについて素数となることと虚2次体Q(√m)との関係が,ラビノヴィッチにより示されています.

[1]m=2,3(mod4)のとき

  l=−m        

  p(x)=x^2+l

[2]m=1(mod4)のとき

  l=(1−m)/4   m=1(mod4)

  p(x)=x^2+x+l

とおきます.

 

 ここで,m=−163=1(mod4)の場合を考えると,l=41

したがって,

  p(x)=x^2+x+41

となります.このようにして,上の現象は虚2次体Q(√−163)と関係しているというわけです.

 

 同様に,1変数の2次多項式n^2+n+17も高い確率で素数を生成しますが,m=−67=1(mod4)の場合を考えると,l=17ですから,虚2次体Q(√−67)との関係が示唆されます.

 なお,実2次体の基本単数は一意に決まるのに対して,虚2次体では単数基準自身が消えてしまいます.

 

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