■素数もろもろ(その2)
【2】フェルマー素数
Fn=22^n+1
の形の素数をフェルマー素数といいます.F0=3,F1=5,F2=17,F3=257,F4=65537257は素数であることがわかります.フェルマーはこの型の数がすべて素数だと勘違いしていて必ず素数を与える式として考え出されたのですが,n=5であっけなく破綻してしまいました.
F5=2^(2^5)+1=4294967297=641×6700417
この間違いを発見したのはフェルマーから約100年後のオイラーです.彼は約数641をあてずっぽうでみつけたのでも,2,3,5,7,・・・と割っていって執念で見つけたのでもありません.オイラーはFnが合成数であるならば,それはあるkに対してk2^(n+2)+1であることを知っていて,F5の中の因数641=5・2^7+1を見つけたのです.現在,n=0,1,2,3,4の5個以外にフェルマー素数はみつかっていません.
オイラーの方法を振り返ってみることにしましょう.ここで,
p|a^(2^n)+1 (p≠2の素数)
ならば
2^(n+1)|p−1
となることを証明なしに与えておきます(→証明せよ).
このことを認めると
p|F5ならば2^6|p−1
すなわち,p=1+k・2^6の形でなければならないことがわかります.kに1〜10まで入れると
k 1+k・2^6 素数
1 65 ×
2 129 ×
3 193 ○
4 257 ○
5 321 ×
6 385 ×
7 449 ○
8 513 ×
9 577 ○
10 641 ○
ここで得られた素数193,257,449,577,641の中から,F5=4294967297を割るものを探すと641が最初のものであることがわかります.このことから
F5=4294967297=641×6700417
と分解されF5が素数でないことが証明されます.
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[補]フェルマー数
フェルマー数(22^n+1)は簡単な漸化式
Fn=(Fn-1−1)^2+1
を満たしています.この式から
Fn−2=Fn-1(Fn-1−1)=・・・=F0F1・・・Fn-1
言い換えれば,Fn−2はそれより小さいすべてのフェルマー数で割り切れることがわかります.
したがって,(Fn,Fi)=1がすべてのi(0≦i≦n−1)にについて成り立ちます.このことは任意にi≠jをとったとき,(Fi,Fj)=1と意味するのですが,このことから数列{Fn}を用いて,素数が無限にあることを示すことができます.
(証明)
すべてのFiの素因数を1つずつとりpiと呼べばpはすべて異なるから,素数は無限にあることがわかる.
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