■ソフィー・ジェルマン素数(その29)

 [参]河田直樹「整数と群・環・体」現代数学社

には「ウィルソンの定理と群」という秀逸なアイデアが収載されているので,紹介したい.

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【1】数値実験

 ユークリッド数を

  E(n)=(n−1)!+1

ウィルソン数W(n)をE(n)をnで割った余りと定義する.

  E(2)=2,W(2)=0

  E(3)=3,W(3)=0

  E(4)=7,W(4)=3

  E(5)=25,W(5)=0

  E(6)=121,W(6)=1

  E(7)=721,W(7)=0

  E(8)=5041,W(8)=1

  E(9)=40321,W(9)=1

を続けていくと

  nが素数←→W(n)=0

に気づく.実際これは正しく,ウィルソンの定理「pが素数であるための必要十分条件は,(p−1)!+1はpで割り切れることである」が成り立つ.

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【2】ウィルソンの定理と群

 W(7)=0であるが,有限体F7={1,2,3,4,5,6}

  2・4=1  (mod7)

  3・5=1  (mod7)

   6=−1  (mod7)

より,6!=−1

  6!+1=0 (mod7)

 W(19)=0であるが,有限体F19={1,2,3,4,・・・,18}

  2・9=−1  (mod19)

  3・6=−1  (mod19)

  4・5=1   (mod19)

  7・8=−1   (mod19)

10=−9,11=−8,12=−7,・・・,18=−1

より,18!=−1

  18!+1=0 (mod19)

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