■五次方程式の非可解性(その23)

 S5の位数は5!=120,群表は120×120,A5の位数は5!/2=60,群表は60×60となります.どの正多面体もS5の回転対称性をもってはいないのですが,A5は正12面体あるいは正20面体の回転対称性を表現しています.5次交代群A5の基本関係式は

  a^3=b^5=(ab)^2=1

となります.

 A5も非可換で,恒等置換以外には不変部分群をもっていません.

  S5>A5>{Id}

不変部分群をもたない群は単純群と呼ばれるのですが,A5は最小の非可換な単純群です(ガロアの定理).ベキ根による可解性を決定づけるものは可換性なのであって,任意の可換群は可解群です(逆は成立しない).

 このことから一般の5次方程式が四則演算とベキ根によっては解けないことがわかるのです.なお,S5の回転対称性をもつ正多面体が存在しないことと5次方程式の非可解性の間には因果関係は存在しないので誤解なさらないように!

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