■クンマーの理想数(その7)

【2】類体論

 2次体における素数の分解

  Q(i),Q(√−2),Q(√2),Q(√−3),Q(√3)

はいずれも類数が1であって,これらの体の整数環は一意分解整域となります.したがって,素数は素イデアルの積としてただ1通りに表されます.

 それに対して,Q(√−5)やQ(√−6)は類数が2であり,Z(√−5)やZ(√−6)は一意分解とは限らないことを意味しています.

  6=2・3=(1+√−5)(1−√−5)

 類数1では,p=x^2+y^2,p=x^2+2y^2,・・・の形に書ける素数の場合,Q(√−1)やQ(√−2)においてpが完全分解するための必要十分条件

  Q(√−1) ←→ 1(mod4)

  Q(√−2) ←→ 1,3(mod8)

がそのままだったのに対して,類数2では,p=x^2+5y^2,p=x^2+6y^2,・・・の形に書ける素数に次のような現象が起こります.

 p≠2,5でない素数とするとき

  「pが20で割ると1または9余る素数ならば,p=x^2+5y^2」

 p≠2,3でない素数とするとき

  「pが24で割ると1または7余る素数ならば,p=x^2+6y^2」

 すなわち,Q(√−5)において,pが完全分解するための必要十分条件

  1,3,7,9(mod20)

Q(√−6)において,pが完全分解するための必要十分条件

  1,5,7,11(mod20)

に較べて少しずれが生じてしまうのです.

 ついでながら,h=2なる虚2次体Q(√d)は,

  −d=

5,6,10,13,15,22,35,37,51,58,91,115,123,187,235,267,403,427

の18個あります.

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