■クンマーの定理(その6)

 虚2次体Q(√-d)の類数が1であるdは

  d=1,2,3,7,11,19,43,67,163

の9個ある。この体の整数はみな素数の積で、順序は無視して1通りに表される。

 ガウスはすでにこの9つの値を知っていたが、ほかにはないということがわかったのは、1966年になってからである。

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 一方,後半の4つ

  d=19,43,67,163

の整数環は、は単項イデアル整域(PID)であるが,ユークリッド整域(ED)ではないことを注意しておきたい.

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 虚2次体Q(√-1)=Q(i)の整数環は一意分解整域である。つまり、どのa+biも素数の積として(順序は無視して)一通りに表される。

さらにこの環は整除のアルゴリズムが定義されるユークリッド整域である。

整数環Zもユークリッド整域であり、したがって、一意分解整域である。Zはn=1の場合の円分体Q(ξn)の整数環と考えられる。(ξnは1のn乗根)

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 虚2次体の単数が±1だけではないものが2つある。Q(√-1)とQ(√-3)。

Q(√-1)の単数は±1と±i

Q(√-3)の単数は{(−1+√-3)/2}^j, J=0,1,2,3,4,5 である。=Q(√-3)の単数群の位数は6

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 虚2次体Q(√-2)の整数環はユークリッド整域であり、したがって、一意分解整域である。

 実2次体Q(√2)の整数環も同じ性質をもつ

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 虚2次体Q(√-3)の整数環はユークリッド整域であり、したがって、一意分解整域である。

 実2次体Q(√3)や円分体Q(ξ3)=Q(−1+√-3)/2)の整数環も同じ性質をもつ

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