■フェルマーの最終定理と楕円曲線(その15)

位数がnの有限体はnが素数と素数の累乗の場合だけに限られる.すなわち,位数が2,4,8,16,32,・・・の有限体,3,9,27,81,243,・・・の有限体はあるが,6や15の有限体はない.

 有理変換(メビウス変換)

  z’=(az+b)/(cz+d)

は円を円に変換するが,ここでa=1,b=1,c=0,d=1とおくと

  z’=z+1

となるから,周期性とは有理変換によって不変,

  f((az+b)/(cz+d))=f(z)

の特別な場合

  f(z+1)=f(z)

にすぎないことがわかる.

 有理変換によって不変な関数は存在し「保型関数」と呼ばれている.とはいっても

  f((az+b)/(cz+d))=f(z)

では条件が厳しすぎるので,ある程度のずれは許すことにして,

  f((az+b)/(cz+d))=(cz+d)^2f(z)

を重さ2の保型形式という.

楕円曲線y^2=x^3−x  (mod p)の整数点の個数をNpとすると,重さ2の保型関数のq展開

  F(z)=qΠ(1-q^4n)^2(1-q^8n)^2=q-2q^5-3q^9+6q^13+2q^17-q^25-10q^29+・・・=c(n)q^n,q=exp(2πiz)

がNp+c(p)=pという関係をもつことをみた.

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【1】もうひとつの重さ2の保型形式

 デデキントのイータ関数,

  η(z)=q^(1/24)Π(1-q^n),q=exp(2πiz)

において,関数

  F(z)=η(z)^2η(11z)^2

   =qΠ(1-q^n)^2(1-q^11n)^2=q-2q^2-q^3+2q^4+q^5+2q^6-2q^7+・・・

   =c(n)q^n,q=exp(2πiz)

を考える.c(n)はF(z)のフーリエ係数である.

 F(z)は,

  ad-bc=1,c=0(mod 11すなわち11の倍数)

なる任意の整数a,b,c,dに対して

  F(az+b/cz+d)=(cz+d)^2F(z)

を満たすから,F(z)は重さ2の保型関数である.

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