■素数の並び方に規則性はあるのか?(その7)
リーマン予想(1859年)とは,リーマンのゼータ関数ζ(s)の複素零点の実部はすべて1/2であるという仮説,すなわち
「ζ(s)の零点がs=−2,−4,・・・,−2nとs=1/2+tiの線上にある」
というのが有名な予想であるが,140年以上経たいまも証明されないままになっている.そのため,数学における未解決問題のうち最も難しいものと考える人も多い.(なお,リーマンのゼータ関数ζ(s)を指標χに関するディリクレのL関数L(χ,s)に置き換えたものが一般リーマン予想である.)
s=1/2という直線は,関数等式
ζ(s)←→ζ(1−s)
の中心軸で,より対称な形で書くと
ξ(s)=π^(-s/2)Γ(s/2)ζ(s)
に対して
ξ(s)=ξ(1−s)
である.
ゼータ関数の最初の複素零点は
ζ(1/2+i14.134725・・・)=0
であるが,
ζ(1/2+i21.022040・・・)=0
ζ(1/2+i25.010856・・・)=0
と続く.
リーマン予想がもっともらしいという根拠は多数あり,
a)s=1/2の線上に無限個の零点がある(ハーディ・リトルウッド,1914年)
b)0<s<1の零点の少なくとも40%以上がs=1/2の線上にある(コンリー,1989年)
c)少なくとも最初の30億個はこの線上にある(テ・リール,1986年)
等々.
また,ヒルベルトは,リーマンのゼータ関数ζ(s)の零点がランダム・エルミート行列の固有値のように分布していると推測し,1915年頃,ポリアとともにゼータ関数の零点をスペクトルとして解釈できないだろうかと提案した.この予想にについてはよくわかったかというと疑問があるが,リーマン予想が正しいとしてみよう.
すると,ζ(s)の零点がs=-2,-4,・・・,-2n,・・・とs=1/2+itの線上にあるという図式は宇宙創成の図という見方,すなわち,整然とした世界から,s=1/2の軸でビックバンが起こり,その後,多数の素粒子(素数)が生成される雑然とした世界へ・・・となり,小生お気に入りの幾何学的図式となる.これでその本質が見える形で理解できるようになったならばよいのだが・・・
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