■巨人の肩に乗って(その5)

 g(x)=xΠ(1−x^k)^24=Στ(n)x^n

すなわち,τ(n)を展開式におけるx^nのン係数とする.

 τ(n)は,(m,n)=1ならτ(mn)=τ(m)τ(n)

乗法的性質をもっている.

[1]n=7m+k(k=0,3,5,6)→τ(n)=0 (mod7)

[2]n=23m+k(kが23の平方非剰余であるとき)→τ(23m+k)=0 (mod23)

[3]τ(n)=σ11(n) (約数の11乗の和)(mod691)

 この係数のおよその大きさを決める問題は難問であったが,ラマヌジャンは素数pに対して,

  |τ(p)|≦2p^11/2

であると予想し,これが正しいことは,1972年にドリーニュによって証明された,

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  [参]黒川信重「零点問題集」現代数学社

もよれば,(ラマヌジャン予想)

  |τ(p)|≦2p^11/2

は零点問題の形

  Re(s)=11/2

で書くことができるという.

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 1−τ(p)p^-s+p^11-2s=(1−αp^-s)(1−βp^-s)

と分解したとき

  α+β=τ(p),αβ=p^11

 ここで,

  |p^s|=|α|=|β|=p^11/2

|τ(p)|=|α+β|≦|α|+|β|=2p^11/2

なお,

  1−τ(p)p^-s+p^11-2s=0ならば

  (p^s)^2−τ(p)p^s+p^11=0

p^s={τ(p)±i(4p^11−τ^2(p)}/2

  |p^s|=p^11/2→Re(s)=11/2

 ドリーニュは巨人グロタンディークの肩に乗って,解決に至ったのである.

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