■膨張宇宙論

20世紀前半に、十分遠くにある天体において距離(d)の遠いものほど速く(v)遠ざかっていることが示された。これを式で表すと比例式

v=Hd,Hはハッブル定数、この法則はハッブル・ルメートルの法則と呼ばれる。

遠くの天体が遠ざかっているとすれば、宇宙はほぼ1点から始まったことになり、宇宙には年齢があることになる。そして、宇宙の大きさは宇宙の年齢と関係していることになる。これは大きな発想の転換点となった。

宇宙の年齢の計算は基本的に宇宙膨張論に基づいている。膨張の速度が一定でないことも考慮した最新の理論では、宇宙の年齢は138億年である。 これはほぼ1/Hに一致する。

1952年以降は距離測定の精度が上がり、その値は大きくは変わっていない。しかし、それ以前は宇宙の推定年齢は約20億年であったという。谷川俊太郎の詩「20億光年の孤独」はこの定説に基づいたものであるらしい。

前川淳「空想の補助線」みすず書房には宇宙の年齢は138億年、光子が届く限界である「粒子的地平線」までの距離が466億年で、宇宙空間の膨張は光速を超えていることなどの詳細が載っている。「466億光年の孤独」ぜひ手に取ってほしい。

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