■クラスレート水和物の世界(その13)
【1】メタンハイドレート
地球誕生以来,炭酸ガスほど大気中の動向がよく知られている物質はないという.大気中の炭酸ガスが急激に増えているという話はご存知と思われるが,現在の増加速度を外挿していくと,200年後くらいにCO2濃度が4%,すなわち動物の致死量に達するという試算がある.
炭酸ガスは,太古の地球では大気中に98%とか99%という量を占めていたらしいが,植物が繁茂するようになって0.03%まで減少した.それが石炭,石油を燃やすようになってあと70年で化石燃料は枯渇するといわれるところまできている.それならば大気中の炭酸ガスはもっと増えているはずなのに,いまなお0.04%未満の組成量にとどまっていて,ほとんど増えていない.
そこで,炭酸ガスはどこへいっちゃたんだろうという話になるのだが,それが「missing sink」と呼ばれる謎である.ミッシング・シンクの説明のひとつとして,深層海底にメタンハイドレートの形で蓄えられているのだという説があるが,実際,深海のメタンハイドレートはバミューダ海域でも,バイカル湖でも,日本海からも吹き上げているとのことで,その場合,何かの異変でメタンハイドレートが一気にブローアップすることだって想定されよう.シミュレーションしてみると50年で窒息するという厳しい結果も出ているという.
つまり,このままだと人類はあと50〜200年で窒息死ということになる.多少の推定誤差はあるにしても,異常事態であることは明白で,一刻も早く炭酸ガスの上昇を食い止めないと人類は窒息死してしまう.地球温暖化による海面レベルの上昇などと寝ぼけたことをいっている場合ではないのである.
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