■正多面体の正多角形投影(その7)
【3】単位四元数と3次元の回転
実部をw,虚部をvとし,
q1=w1+x1i+y1j+z1k=(w1,v1)
q2=w2+x2i+y2j+z2k=(w2,v2)
と表すことにすると,
q1+q2=(w1+w2,v1+v2)
q1・q2=(w1w2−(v1・v2),w1v2+w2v1+(v1×v2))
と表せる.
ここでもう一度,3次元空間内の任意の点を位置ベクトルpで表し,軸nの周りにθだけ回転したベクトルをRpとし,Rpをp,n,θを用いて表そう.
nに直交するベクトル:q=p−(p・n)n
nとpの外積:r=n×q=n×p
とすると
Rp =cosθq+sinθr+(n・p)n
=cosθp+(1−cosθ)(n・p)n+sinθ(n×p)
がわかる.
次に,単位四元数q=(w,v)=(cosη,sinηn)を用いた変換
Rp(h)=q・h・q~
を考える.q~=(w,−v)
pを四元数の虚部とみなすと,
Rp(p)=q・p・q~=(w,v)・(0,p)・(w,−v)
=(0,(w^2−|v|^2)p+2(p・v)v+2w(v×p))
=cos2ηp+(1−cos2η)(n・p)n+sin2η(n×p)
したがって,θ=2ηとおけば,軸n周りのθ回転は単位四元数
q=(cosθ/2,sinθ/2n)
で簡単に表せることがわかる.
四元数は群,環,体などの代数的構造の理論という分野の中で不可欠な役割を担ったのであるが,1843年,ハミルトンが発見して以来3次元運動の力学系を記述するために使われてきて,スペースシャトルの制御でも利用されている.また,電磁気学や相対性理論,三次元の非ユークリッド幾何学の法則を記述するのにも応用されているそうだ.
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