■2色定理の証明(その3)
【2】四色定理
20世紀のうちに解決された悪名高き難問に,四色問題
「任意の平面地図は高々4色で色分けできるか?」
がある.5色で色分けできることはヒーウッドによって100年以上も前から知られていたが,四色問題が肯定的に解決されたのは1970年代後半のことで,アペルとハーケンはコンピュータを使ってこの証明を成し遂げた.
四色問題の証明では,地図を電気回路とみなして
4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12
の条件の下の放電(電荷の移動)に帰着させる(放電法)のであるが,この手続きは場合分けの数が膨大で,約1800通りもの場合をチェックしなければならず,コンピュータによる解析に依存せざるを得なかったのである.
アペルとハーケンの後も放電法の改良が続けられ,1994年,ロバートソン,サンダース,シーモア,トーマスの4人が新たな1章をつけ加えた.しかし,これとて基本的にはアペル,ハーケンと同じコンピュータ路線であり,場合分けが約600通りに軽減されているものの,四色問題の証明にはどうしてもコンピュータが必要であった.
四色定理の証明はロバートソンらによって改良されてかなり簡単になったとはいえ,いまだ手計算で証明を完成させた人はいない.その後、ワーナーとゴンティエによって、人間の頭でも終える形で証明されたらしい。コンピュータを使わない証明にはこれまでにないようなまったく新しいアイディアが必要になると思われるが,そうしたアイディアは今日もなお登場していないのである.
ともあれ,四色問題がグラフ理論の発展に対する推進力となったことは確かである.
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