■2色定理の証明(その2)

 紙の上に鉛筆で閉曲線を描く.その際,自分自身と交差すること,また,交点では2個以上の弧が交わってもよいことにする.次に,閉曲線から得られた地図に色を塗るのだが,ある国を黒く塗りつぶし,国境線で隣り合う国はそのままにしておく.

 その結果は市松模様となるが,これは偶然ではない.この事実を初めて知ったのは高校生のときであるが驚き,そして不思議に思ったものである.

 しかし,2色定理の証明はあっけないほど簡単である.どの隣接する2面も同じ色でないように,白と黒の市松模様に塗ることができるためには,1の頂点で偶数の面が交わらなければならない(=頂点の次数はすべて4以上の偶数)ことに気づきさえすればよいのであるが,ここでは別法,数学的帰納法を使って証明してみたい.

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[1]線が1本なら2色で塗り分けすることができる.(OK)

[2]線がn本のとき2色で塗り分けすることができるならば,n+1本のときも2色で塗り分けすることができる.

 n+1本から1本の線を消す.これは2色で色分け可能である.ここで,消した線を元に戻す.この線の一方の側をそのままにして,もう一方の側の白黒を反転させると,全領域でも2色で色分け可能であることわかる.(OK)

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このようにすべての頂点次数が偶数の場合、2色定理が成立する。

4色定理の証明はこれに比べてはるかに難問である。東野圭吾「容疑者Xの献身」では難問に挑戦して一生を棒に振る数学者が登場する。

大数学者のミンコフスキーは「この問題が証明されていないのは、それに挑戦した数学者が一流でなかったからだ」と学生の前で豪語したという。

証明に手を付けたが結局、それを成し遂げることはできなかった。「天は私の尊大さに腹を立てたようだ」と述べたという。

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