■素数の分解(その1)

整数係数・有理数係数という制限を取り払うと,因数分解可能になる式があります.たとえば,

  x^2−3xy+y^2+x+y−1

は,無理数である黄金比:τ=(√5+1)/2,τ^(-1)=(√5−1)/2を用いると

  (τx−τ^(-1)y−1)(τ^(-1)x−τ^(-1)y+1)

と因数分解できます.

 

 さらに実数という制限も外してみることにしましょう.

  x^2+y^2

を実数の世界で因数分解することはできませんが,複素数を使うと

  x^2+y^2=(x+yi)(x−yi)

のように因数分解できます.また,

  a^2+b^2+c^2−ab−bc−ca

は,ω(1の虚立方根)=(i√3−1)/2を用いると

  (a+bω+cω^2)(a+bω^2+cω)

と書くことができます.

 

  x^2+y^2+z^2

は複素数の助けを借りても因数分解できませんが,4元数を用いると,

  x^2+y^2+z^2+w^2=(x+yi+zj+wk)(x−yi−zj−wk)

ですから,

  x^2+y^2+z^2=−(xi+yj+zk)^2

のように因数分解できます.

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素数は分解されることはないのですが、分解される範囲が複素数まで拡大されるのであれば、2つの積の形に分解されて書き表すことができます

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