■トーラスの計量(その20)

【1】ホテリング・ワイルの定理(管状近傍定理)

 パップス・ギュルダンの定理は一般のn+1次元空間内の曲線ついても成立する.すなわち,半径rのn次元円板を考えることによって,

  管状r近傍の体積=半径rのn次元円板の体積×曲線の長さ

 一般に,Sをn次元空間におけるj次元単体とすると,Sの直交r近傍Srは,Sと半径rのn−r次球の直積としても書くことができる.

  voln(Sr)=volj(S)r^n-j×voln-j(Bn-j)

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 この定理は空間内の図形の周りに肉付けをした体積を求める公式である.たとえば,3次元空間中の半径Rの球面Sの各点で,Sの外側と内側にr(Rに較べて十分小)の幅をつけた体積を考えると,

  V=4π(R+r)^3/3−4π(R−r)^3/3

   =8πR^2r+8πr^3/3

   =(Sの面積×肉厚2r)+2×(半径rの球の体積)

 ホテリング・ワイルの式は球面に対してだけでなく,それと同相な曲面すべてに対して成り立つことを主張しているのである.

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