■トーラスの計量(その18)

【1】トーラス面上の地図の彩色

 平面や球面上に描かれた地図に関するオイラーの公式は

  v−e+f=2

でしたが,トーラス上の地図に関するオイラーの公式は

  v−e+f=0

です.

 トーラスでは6個以下の隣接領域しかもたない領域が少なくともひとつあることを証明するために,どの領域も少なくとも7つの領域で囲まれていると仮定すると

  7f≦2e

また,3v≦2eですから

  v−e+f≦2/7e−e+2/3e=−1/21e≠0

という矛盾を引き出すことができます.

 したがって,トーラスでは6個以下の隣接領域しかもたない領域が少なくともひとつあることになります.このことを利用すると,

  「トーラス上のどんな地図でも7色で塗り分けられる」

ことが証明されます.ヒーウッドは実際に7色を必要とする例もあげています.

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 (その17)に掲げた

[1]球面上のK4

[2]トーラス面上のK7

[3]種数6表面上のK12

は,ヒーウッドの公式「g個の穴があいているトーラス上の地図はどれも

  H(g)=[{7+√(1+48g)}/2]

色で塗り分けられる」に対応したものである.

 なぜならば,

  g=(v−3)(v−4)/12

  v^2−7v+12−12g=0

  v=[{7+√(1+48g)}/2]

となって,完全に一致する.

 以下,

  g=11 → K15

  g=13 → K16

  g=20 → K19

  g=35 → K24

  g=46 → K27

  g=50 → K28

  g=63 → K31

  g=88 → K36

と続く.1+48g型の平方数は無数にあるのだろう.

 ともあれ,彩色数はオイラー標数とは別の表面の不変量なのである.

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【2】ジラシ(シラッシ)の多面体

 セイザーの多面体の双対.面数は7.どの面も6角形で,他の6面と辺で接している.トーラス上の地図を塗り分けるのに7色必要な例となっている.

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