■トーラスの展開図(その1)
多面体の展開図ではハサミがすべての頂点を通らなければ平面に広げることはできない.たとえば,立方体の辺に沿った展開図では8頂点を通らなければならず,そのためには7辺を切り離す必要がある.
1本の切れ込みを入れると展開図の2辺が得られるから,一般に四角柱の展開図は14角形,三角錐の展開図は6角形,四角錐の展開図は8角形,重四角錐の展開図は10角形になることがわかる.すなわち,頂点数Vの多面体の展開図の辺数eは
e=2(V−1)
となるのである.(実際に数えてみると,2種類ある正四面体の展開図ではe=3,4,11種類ある立方体の展開図ではe=8,10,12,11種類ある正八面体の展開図ではe=6,7,8,9,10が得られるが,それぞれe=6,14,10が退化したものと考えることができる.)
逆にいえば,立方体の展開図(14角形)にラベルa,b,c,d,e,f,gをつけ,ラベルを共有する2本の辺を貼り合わせると立方体の表面になる.このようなラベルや矢印の付いた多角形領域のことを構成された図形の平面モデルと呼ぶ.
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【1】2次元多様体の分類定理(その1)
ゴム膜でできた長方形の4辺(または2辺)を適当に貼り合わせることを考えてみましょう.そして,長方形を時計回りに順に一周するようなラベルをつけることにします.
すると,1組の対辺だけを向きを保ったまま貼り合わせる操作はa0a^(-1)0と書くことができます.a0a^(-1)0によって円環ができあがります.a0a0すなわち1組の対辺を向きを逆にして貼り合わせる操作によって,メビウスの帯ができあがります.円環の境界は2本の円周ですが,メビウスの帯の境界は1本の円周です.
同様に,abb^(-1)a^(-1)からは球面,aba^(-1)b^(-1)からは輪環面(トーラス),abab^(-1)からはクラインの壷,ababからは射影平面が得られます.
クラインの壷と射影平面は3次元ユークリッド空間の中では描けませんが,4次元空間考えると自己交差なしに重ね合わせることができます.また,イメージするのは難しいのですが,射影平面はメビウスの帯と円板とを縁に沿って貼り合わせたものと同相です.
円環,球面,輪環面は表から裏に行くことはありませんが,メビウスの帯,クラインの壷,射影平面では縁を越えることなしに曲面の裏側にたどりつきます.こういう面を向きづけ不可能な曲面といいます.
これら6種類はすべて2次元多様体の例です.そして,コンパクトな2次元多様体はどんなものでも,円環,メビウスの帯,球面S,輪環面T,クラインの壷K,射影平面Pの6つのものを適当に連結和したものと同相になることが知られています.これが2次元多様体の分類定理ですが,その詳細については後回しにして,次に連結和の平面モデルについて考えてみます.
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