■アステロイド(その28)

 さて,一般に,多次元ユークリッド空間の点(x1,x2,x3,・・・,xn)は,r>0,0≦θ1,θ2,・・・,θn-2≦π,0≦θn-1≦2πを満たすr,θ1,θ2,・・・,θn-1によって,

  x1=rcosθ1

  x2=rsinθ1cosθ2

  x3=rsinθ1sinθ2cosθ3

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  xn-1=rsinθ1sinθ2・・・sinθn-2cosθn-1

  xn =rsinθ1sinθ2・・・sinθn-2sinθn-1

と表すことができます.ただし,n=2のときは,周知のとおり,

  x1=rcosθ1

  x2=rsinθ1

とします.(r,θ1,θ2,・・・,θn-1)がn次元極座標です.また,そのときヤコビアンD(x1,・・・,xn)/D(r,θ1,・・・,θn-1)は

  r^(n-1)sin^(n-2)θ1・・・sin^2θn-3sinθn-2

となります.

 円周上の座標は,

  x=rcosθ

  y=rsinθ

と表され,2次元アステロイドでは,

  x=rcos^3θ

  y=rsin^3θ

とパラメトライズしました.

 同様に,球面上の座標は

  x=rsinθcosφ

  y=rsinθsinφ

  z=rcosθ

で定まります. したがって,3次元アステロイドでは

  x=rsin^3θcos^3φ

  y=rsin^3θsin^3φ

  z=rcos^3θ

と変数変換して,これをもとにヤコビアンを求め,

  S=∫∫{1+(∂z/∂x)^2+(∂z/∂y)^2}^1/2dxdy

の置換積分を繰り返すことになります.

  J1=D(x,y)/D(θ,φ)

  J2=D(y,z)/D(θ,φ)

  J3=D(z,x)/D(θ,φ)

とおくと

  ∂z/∂x=−J2/J1

  ∂z/∂y=−J3/J1

より,

  S=∫∫{J1^2+J2^2+J3^2}^1/2dθdφ

 その際,

a)φに関する積分をcos^2φ=uと置換して先に計算する.

b)その結果生ずるθの積分のうち,逆三角関数を含む項ではsin^2θ=vと置換してから部分積分し,あらゆる無理関数を有理関数化する.

と「解析学大要」養賢堂には指示されています.また,答は

  S=17/12πa^2

とあります.

 私は大量の計算用紙を浪費したあげく,この答えを出すことを断念しました.すなわち,この問題はマイ未解決問題のひとつなので,手計算で答えを出した読者諸賢に対しては敬意を表したいと思います.一方,次の問題は簡単に解けました.

【問】3次元アステロイドの体積

  V=∫∫zdxdy

を求めよ.  (答)4/35πr^3・・・3/70πa^3が正しい

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