■アステロイド(その27)
【1】3次元アステロイドの表面積
アステロイドを拡張する方向としては,ひとつには次元を増すこと,もうひとつは尖点数を変えることが考えられます.アステロイドの次元を増すと,3次元アステロイド
x^2/3 +y^2/3 +z^2/3 =a^2/3
となりますが,この図形は6つの尖点を持っています.
ところで,アステロイドの表面積はなかなか解けない問題として,悪名高いものです.ベータ関数を除いてはせいぜい初等関数がでてくるだけなのに,置換積分を何度も行っているうちに,そのつど係数が長くなってしまい,前途多難.−−−計算の原理は難しくはなく,私も解決に至るシナリオ,ストーリーはわかっているのですが,いくら手計算しても「解析学大要」養賢堂と答えが合いません.
具体的な計算の方法までわかっているのに,答えが合わない.計算というのは不可解なものです.そこで,話を2次元アステロイド
x^2/3 +y^2/3 =a^2/3
に戻して,その周長L・面積A・回転体の表面積S・回転体の体積Vを計算してみましょう
L=∫{1+(y’)^2}^1/2dx
A=∫ydx
S=2π∫y{1+(y’)^2}^1/2dx
V=π∫y^2dx
これらの積分は,
x=acos^3θ
y=asin^3θ
とパラメトライズすることによって,いずれも
∫sin^mθcos^nθdθ
に帰着します.この積分は,一般には,ベータ関数
B(x,y)=2∫(0-π/2)sin^(2x-1)θcos^(2y-1)θdθ
=∫(0-1)t^x(1−t)^ydt
ですが,例えば
∫sin^4θcosθdθ=sin^5θ/5+C
のように高校レベルで解けるものもあります.
計算の結果,
L=6a
A=3/8πa^2・・・17/12πa^2が正しい
S=12/5πa^2
V=32/105πa^3・・・24/70πa^3が正しい
が得られました.ただし,この数値は筆者が数式処理ソフトを用いずに,手計算で求めた値ですから,信頼率はかなり低いと思われます.読者諸賢の検算をお願いいたします.
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