■ケプラーと正多面体(その13)

六花という異名をもつ雪がなぜ六角形をしているのだろうかという問題を考えてみよう.ケプラーが雪の結晶はなぜ六角形であるのかと考えたのは1611年のことであった.六角形は蜂の巣など現実世界で非常によく見られる形である.そして,ケプラーの考えた雪片の構成原理は六角充填の効率性と関連しているというものであった.

ケプラーは対角線の長さが1:√2の菱形12枚で構成される菱形12面体の模型をを見たことで、形の対称性について思索をめぐらす書物「雪の結晶はなぜ六角形か」のアイデアを得たといわれている。そして、対角線の長さが1:φの菱形30枚で構成される菱形30面体も発見している。

ケプラーといえば,惑星の運行法則で有名であるが,天文サイズばかりでなく,ミクロな世界にまで注目し「神のなせる業」を見いだそうとしていたのである.

ケプラーは宇宙秩序の謎は幾何ガニによって解かれるものだと固く信じ、「幾何学は神の心とともに永遠なるもの」と考えていた。そして、神学に対する忠誠心に従って幾何学は神の心と永遠に共存するという確信を捨て去ることはなったという。いずれにしても、ケプラーは「最後の魔術師、最初の科学者」と表現されるにふさわしい不思議な人物であったのである。

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