■ケプラーと正多面体(その10)
【補】周転円軌道(エピサイクル)
回転円が固定円に接して滑ることなく転がっていくとき、回転円の周上の点の軌跡を考えます。回転円が固定円に外接するとき、その軌跡をエピサイクロイド、内接するとき、ハイポサイクロイドと呼びます。アステロイド:x2/3+y2/3 =a2/3 は固定円の半径が回転円の半径の4倍になっているハイポサイクロイドです。
【補】天体望遠鏡
ガリレオは20倍の天体望遠鏡を作成し、1610年に木星の4個の衛星と土星の輪を発見しています。天王星、海王星、冥王星は望遠鏡の発達に伴って、それぞれ1781年、1846年、1930年に発見されています。
【補】自然の不連続性
19世紀末から20世紀初頭にかけて、物質の不連続性(原子)、電気の不連続性(電気素量e)に引き続き、エネルギーの不連続性(hν)という自然の秘密は徐々に暴かれてきました。
1913年、ボーアはプランクが提案した量子化の概念を原子構造に導入することによって、原子模型の難点を解決できることに気づきました。ボーアはバルマーやリュードベリのスペクトル系列の公式:
1/λ=R(1/m2 −1/n2 )
の中に、原子の中には電子が輻射を行わない軌道があること、輻射は電子がある軌道から別の軌道に跳躍するときだけに生じることを見つけだし、原子自体の微細構造を明らかにしたのです。
リュードベリ定数Rは物理学の普遍的な定数で、電子の質量m、電子の電荷e、光速度c、プランク定数hと式
R=2π2 me4 /ch3
で結ばれています。しかも、eについては4乗、hについては3乗しているのですからかなり複雑な関わり方をしています。
【補】ボーデの法則
1772年、ベルリン天文台長のボーデは惑星を太陽に近い順に0(水星),1(金星),2(地球),3(火星),・・・番と数えるとき、太陽から地球軌道の平均半径を1天文単位とすれば、第n番目(n≧1)の惑星の平均距離は(3×2n-1 +4)/10になるという、いわゆるボーデの法則を発見しました。この経験則は、1766年にドイツのティティウスが発見した関係を掘り出したもので、ティティウス・ボーデの法則とも呼ばれます。この法則は驚くべき正確さで太陽から惑星までの距離に対応していますが、理論的根拠があるわけでなく、全くの経験的法則であったため、あまり注意を払われませんでした。
【補】自然哲学
ガリレイは実験物理の父、そしてニュートンは理論物理の父とみなされています。もちろん彼らの時代には、物理は統合された分離できない科学であり、実際、物理学とさえ呼ばれず、自然哲学と呼ばれていたのです。
ルネサンス期、自然科学はまだ完全に人文科学とも分離してはいませんでしたが、この特徴も17世紀末にはほとんど廃れてしまい、物理と数学の研究ですら一般には結びつかなくなってしまいました。科学技術が高度に発達すると専門分科が進み、分野ごとに周囲に高い壁を張り巡らせて閉じられた世界と化してしまうのです。
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