■フラクタル次元(その21)
フラクタル構造はいたるところで微分不可能な連続曲線という病理的な性質をもっている.今回のコラムでは導関数をもたない連続関数について考察する.
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【1】ワイエルシュトラスの例
いかなるところでも微分可能でない関数の最初の例はワイエルシュトラスに負っている.
[1]0<a<1,ab>1+3π/2=5.712,bは奇数.このとき
W(t)=Σ(0,∞)a^ncos(b^nπt)
[2]E(t)=−2t+1 (0≦t≦1)
E(t)=2t−3 (1≦t≦2)
この定義をすべての実数tに拡張して,E(t)は周期2の周期的偶関数とする.
E(−t)=E(t),E(t+2)=E(t),E(t+1)=−E(t)
E(t+k)=(−1)^kE(t),E(n)=(−1)^n
0<a<1,ab>4,bは奇数.このとき
F(t)=Σ(0,∞)a^nE(b^nt)
はいかなるところでも微分可能ではない.たとえば
F(t)=Σ(0,∞)E(9^nt)/2^n
はいかなるところでも微分可能でない.
[3]f(t)=0 (0≦t≦1/3)
f(t)=3t−1 (1/3≦t≦2/3)
f(t)=1 (2/3≦t≦1)
S(t)=3/4(E(t−1)+1)=Σ(0,∞)f(3^nt)/3^n
S(t)=3t/2 (0≦t≦1)
S(t)=−3t/2+3 (1≦t≦2)
は周期2の連続な偶関数である.
f(t)=S(t)−S(3t)/3
S(9^nt)=3/4(E(9^nt−1))+3/4=3/4(E(9^n(t−1))+3/4 (∵9^n=1 (mod2))
Σ(0,∞)S(9^nt)/2^n=3/4(F(t−1))+3/2
はいかなるところでも微分可能でない.
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