■フラクタル次元(その14)

 フラクタルが登場するまで,図形の次元は1か2か3に限られていた.幾何学では分数次元を想像することも可能であるが,中でも有名なのは「コッホ雪片」である.コッホ雪片ではまず1辺の長さ1の正三角形を描く.それぞれの辺を3等分し,真ん中の部分を取り除く.そこに同じ長さの辺でできたV字型を置く.この操作を何回も繰り返すと,雪の結晶のような形になる.

 周長は1回の操作ごとに1/3ずつ増えるので,n回後の長さは(4/3)^n→∞である.また,無限に繰り返した結果できるフラクタル図形の面積は

  S=√3/4+√3/4・(1/3)^2・3+√3/4・(1/9)^2・3・4+√3/4・(1/27)^2・3・4・4+・・・=√3/4+√3/12/(1−4/9)=√3/4+3√3/20=2√3/5である.つまり,無限の周囲が有限の面積を囲んでいることになる.

 [参]アン・ルーニー「数学は歴史をどう変えてきたか」東京書籍

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【1】コッホ曲線

 コッホ曲線では1回の操作ごとに全体の長さは1/3ずつ増えるので,n回後の長さは(4/3)^nである.この曲線は1次元の線ではない.また,同時に2次元でもない.そこで,このような曲線はフラクタル次元をもつといわれ,その次元は

  log4/log3=1.26

で,線の次元よりは上だが,面の次元よりは下になる.

 方眼紙を1枚もってきてこの図形にかぶせ,この図形を覆っているマス目の個数を数える.つぎにマス目の大きさを半分にした方眼紙で同じことを繰り返す.もとの図形が線であればマス目の数は2=2^1倍に,面であればマス目の数は4=2^2倍に増える.

 コッホ曲線では,マス目の大きさを1/3にした方眼紙で同じことを繰り返すと画素数は4倍になるから,

  3^d=4→d=log4/log3=1.26

マス目の大きさを半分にした方眼紙であれば,2^1.26倍に増えるのである.

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コッホ雪片では1/3の長さの線分4つに置き換える

次の段階では1/9の長さの線分16に置き換えることになる

そのフラクタル次元は

  log4/log3=1.2618

  log16/log9=1.2618

自己相似の性質がよくわかるだろう

一般に、1/rの長さの線分Nに置き換えた場合のフラクタル次元は

d=logN/logr

1/4の長さの線分8つに置き換える場合は

d=log8/log4=3/2

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