■ルーローの三角形が直線上を転がるときの中心の軌跡(その8)

【2】中心が直線を描く場合の基線

 (その1)では直線上(接線上)を転がるルーローの三角形の中心の描く軌跡について考えてみましたが,ここでは逆問題,すなわち,ルーローの三角形の中心が直線を描く場合,その基線となる曲線を求めてみます.

 これにより,直線上を転がるルーローの三角形の中心の描く軌跡と,ルーローの三角形の中心が直線を描く場合の基線は一致しないことを実際に確かめてみることにします.

 ルーローの三角形を極座標を用いてr=r(φ)で定義します.r=r(θ)としなかったのはトロコイド(パラメータ:θ)

  x=aθ−bsinθ,y=a−bcosθ   (a>b>0)

との対応を考えてのことです.

 φの出発点(φ=0)をトロコイドの最下点y=a−bの位置にとると,

  r^2=a^2+b^2−2abcosθ  (余弦定理)

  acosθ=b+rcosφ     (−π/3≦φ≦π/3)

  asinθ=rsinφ       (−π/6≦θ≦π/6)

なる幾何学的関係が成り立ちますから

  r^2=a^2+b^2−2b(b+rcosφ)

    =a^2−b^2−2brcosφ

したがって,

  r=−bcosφ+{(bcosφ)^2+a^2−b^2}^(1/2)

   =−bcosφ+a{1−k^2sin^2φ}^(1/2)  k=b/a

  x=∫rdφ

   =∫{−bcosφ+{(bcosφ)^2+a^2−b^2}^(1/2)}dφ

   =−bsinφ+aE[φ,k^2]   k^2=a^2/b^2

  y=−r

よりφを消去できれば基線(x,y)が求められるのですが,厳密解は不完全楕円積分ですからこれ以上簡単な形には表せません.

  dx/dφ={−bcosφ+{(bcosφ)^2+a^2−b^2}^(1/2)}=−y

  dy/dφ=−bsinφ+1/2・sin2φ{(bcosφ)^2+a^2−b^2}^(-1/2)

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