■連鎖する形(その21)

 パズル作家デュドニーが1902年に見つけたとされる.正三角形を正方形に(正方形を正三角形に)する4片裏返しなしの有名なパズルであり,ヒンジで4片を回転させて正三角形と正方形を相互変換させる.

 4片でないもの,裏返しのあるものは見つかっているが,4片かつ裏返しなしの解はこれ以外には見つかっていないという.

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【1】平行多面体の変身

 デュドニーは正三角形から正方形に等積変形するパズルを考案した.また,3次元ではエンドレス・キューブという立方体同士の表裏翻転図形がよく知られていて,適当な稜が蝶番でつながれた8つの立方体の輪は立方体(2×2×2)に折りたたむことができる.エンドレス・キューブは表の24面を裏返すと裏の24面が現れてくることを利用している.

 エンドレス・キューブに観光地の写真を貼り付けてあるおみやげグッズも売られているから,ご存知のかたも多いと思うが,これは最も単純なリバーシブル多面体である.もし,平行多面体間でもこのような変身が起こり得るならば,それは相転移を直接的に表現する模型となるはずである.

 相転移の状態移行では,球の並進運動と同時に空間の連続的な回転運動が起こらなければならないが,ペンタドロンはそのメカニズムをある程度解き明かしてくれる.しかし,もっと優れた相転移模型も考えられる.それが以下に述べる平行多面体同士の「変身立体」である.

[定理]15通りあるすべての平行多面体の対の間で,平行多面体同士のフリップ・フロップ変身が可能である.

 相転移のモデルを何かに応用できると良いなと思うが,いますぐにはいいアイディアは浮かばない.読者諸賢のアイデアを拝借願いたい.

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