■連鎖する形(その6)

2本の帯の下に紙幣をいれるといつのまにか1本の帯の下に移っているという財布のトリックはよく知られている.そのトリックの秘密は蝶番の構造にあり,財布を両側から開けることができる.

 正四面体の相対する稜は互いに直交している.8個以上の正四面体を稜同士を蝶番でつないでできる輪は,内と外が入れ替わりあうように連続的に回転することができる.正四面体でなく,細長くかつ平たい四面体では6個(鏡像体を3個ずつ交互に)をつなくだけでも回転する.

 もう少しずんぐりした四面体を数個(6個とは限らない)で同様の立体を構成できる.また,適当な稜が蝶番でつながれた6つの立方体の輪も連続的に回転することができる.これらはくり返し裏返せる多面体の輪になっているというわけで,撹拌装置の原理として広く使われている.

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【1】パウル・シャッツ環の木工製作

 以下に中川宏さんにお願いして木工製作してもらったパウル・シャッツ立体とパウル・シャッツ環を掲げる. 1:a:aの直方体を2分割し,塹堵(ぜんと)型2個を作る.さらにそれを2:1に分割すると陽馬型と鼈臑(べつどう)型ができる.この鼈臑型がパウル・シャッツ立体である.

 パウル・シャッツ環はパウル・シャッツ立体3対を使ったサメの顎のような動くおもちゃで,輪郭が正六角形となるとき中央には正三角形の穴があき,中央の穴が閉じたとき片面は正三角形の平面になる.

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