■高次元の準正多面体(その5)

 正多胞体は鏡映(反転)すると合同になる単体群に分割される.それが基本単体である.正単体では(n+1)!個,正軸体・立方体では2^nn!個の基本単体に分割される.

 3次元の場合,基本単体の4つの面は直角三角形で,中心と結ばれる3つの稜線P0P3,P1P3,P2P3の長さはそれぞれ外接球。中接球,内接球の半径に一致する.たとえば,正軸体の場合,

  P0(1,0,0)

  P1(1/2,1/2,0)

  P2(1/3,1/3,1/3)

  P0P3=1

  P1P3=√2/2

  P2P3=√3/3

 準正多面体を構成する場合,その頂点となる基準点Qを決めれば,あとは鏡映することによってすべての頂点の位置を決定することができる.また,そのような頂点の決め方をワイソフ構成という.

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【1】ワイソフ計量空間

 たとえば,3次元の場合,基準点Qが三角形の内部P0P1P2にあるのか,3辺の上P0P1,P0P2,P1P2にあるのか,3頂点の上P0,P1,P2にあるのか,7種類のいずれかにあるのかを示すのが形状ベクトルである.

 それぞれの形状ベクトルは[1,1,1],[1,1,0],[1,0,1],[0,1,1],[1,0,0],[0,1,0],[0,0,1]と表記される.このような頂点の決め方をワイソフ構成という.

 一般に,n次元空間においては基本単体の構成要素の2^n−1種類のいずれかにあるのかを示すのが形状ベクトルである.点Qが決まればあとは鏡映することによってすべての頂点の位置を決定することができる.

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【2】ワイソフ計量空間を使って求められること

[1]n次元準正多胞体にはどれだけの種類があるか?

 3次元正多面体は5種類あり,正四面体は自己双対である.3次元準正多面体は13種類あり,製作法から

  切頂型・・・7種類

  切頂切稜型・・・4種類

  ねじれ型・・・2種類

と分類される.ねじれ型は特殊型であって,これの高次元対応物がいくつあるかはわかっていない.そのため,ここでは切頂型・切頂切稜型準正多胞体のみ扱うことにする.

 4次元正多胞体は6種類あり,正5胞体,正24胞体は自己双対である.5次元以上の正多胞体は3種類あり,正n+1胞体は自己双対である.非自己双対の場合,切頂型・切頂切稜型準正多胞体は

  2^n−1

自己双対の場合,切頂型・切頂切稜型準正多胞体は

  2^(n-1)+2^[(n-1)/2]−1

種類ある.

 3次元のねじれ立方体とねじれ12面体に相当する特殊型は取り扱わないことにするが,重複するものを除くことによって,下表が得られる.

次元  正多胞体  準正多胞体

3      5     11(重複3を除く:7×2+5−5−3)

4      6     39(重複3を除く:15×2+9×2−6−3)

5      3     47

6      3     95

n(≧5)  3     2^n+2^(n-1)+2^[(n-1)/2]−5

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

[2]n次元切頂型準正多胞体,n次元切頂切稜型準正多胞体にはどれだけの種類があるか? (正多胞体は除く)

次元  正単体切頂型   正単体切頂切稜型

3      2        2

4      3        5

5      4       14

6      5       29

n    n−1   2^(n-1)+2^[(n-1)/2]−n−1

次元  正軸体切頂型   正軸体切頂切稜型

3      3        2

4      5        8

5      7       22

6      9       52

n   2n−3    2^n−2n

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【3】現状と課題

[1]これまで,6次元までのワイソフ構成が与えられた(ねじれ型を除く)高次元準正多面体の面数fkがコンピュータ探索によって求められている.

[2]目標はワイソフ構成が与えられた高次元準正多面体の面数公式を求めることである.f0とfn-1は計算可能であった.

[3]頂点数f0はわかったが,任意の次元の辺や面の個数の一般式については気になるところである.胞数fn-1を数えるだけならば,座標にこだわらず,切り口がどうなるかを順次調べた方が早道であった.

[4]f2以上はmetric structureが必要になると思われるが,f1についてはropological combinatorial structureだけで求められるかもしれない.f0公式がわかっているわけであるから,その頂点の次数mがわかればすぐにf1公式は求められるはずである.すなわち,組み合わせ的方法によって求めてみるのがよさそうであるが,意外に難しい.

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