■高次元の正多面体(その44)
0次元の点がまっすぐ動くと1次元の線分になる.1次元の線分が平面の上で自分と直角の方向に同じ長さだけ動くと,2次元の正方形になる.2次元の正方形が3次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,3次元の立方体となる.この3次元立方体が4次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,同じ大きさの8個の立方体からなる4次元の立方体(正8胞体)になる・・・.このように,3次元立方体の8つの頂点を第4の方向に1単位だけ平行移動することにより,4次元立方体の3次元投影図を描くことができる.サルバトール・ダリは4次元を愛した画家であった.
4次元と何か? アインシュタインの学生ならば,高さと幅と奥行きの3つの空間次元に第4の次元として時間を加えたものであると答えるに違いない.しかし,数学では時間などの物理法則に縛られず,さらに高い空間次元の図形を考えることができる.
とはいえ,線が1次元,正方形が2次元,立方体が3次元,・・・さらに次元を増やすとはいっても,人間の感覚だけで4次元立方体を想像するのは難しいかもしれません.4次元以上はある意味「脳産物」であり,まず,それを受け入れなければなりません.
たとえば,3次元空間内の運動を考える場合,x軸・y軸・z軸方向への並進,x軸・y軸・z軸まわりの回転を考えるだけで,すでにパラメータ数は6になります.このような高次元パラメータ空間での運動解析は,実際の機械設計に欠かせないものになっていますから,受け入れなければならないですし,いったん,受けいれてしまえば無限次元であっても納得できる代物になり,納得できればたとえその図形を見ることができなくても,そんなことはどうでもよいことになってしまいます.4次元といっても単なるパラメータが1個増えたに過ぎないのです.
===================================