■高次元の正多面体(その24)

【3】衝撃の事実

 正5胞体を正600胞体にうまく内接させたいのであるが,あれこれ試行錯誤していたのであるが,どうしてもうまくいかない.そこへ一松信先生から衝撃の手紙が舞い込んできた.120÷5=24なので,一見正600胞体の120個の頂点からうまく選べば正5胞体が24個含まれても良いように見えるが,正600胞体の頂点を結んでも同じ中心をもつ正5胞体は作れないというものである.

 一松先生の解説によると,

[1]正600胞体の720本の辺がきれいに720個の正10角形(平面にある真の正10角形)をなすことに注意する.各頂点には6個ずつの正10角形が通る.そして,中心対称の2頂点以外の任意の2点に対しては,その両方を頂点とする正10角形がひとつ定まるか,両頂点を中心と結ぶ半径が垂直あるいは60°の倍数になる.

[2]半径1の外接球面上で一対の点を北極と南極におくと,他の点を標準座標で表すと

緯度南北18°と54°の位置に12点ずつ(正20面体の頂点)計4×12

緯度南北30°の位置に20点ずつ(正12面体の頂点)計2×20

赤道上に12・20面体の形の頂点30

両極2点を加えて120個という位置である.

[3]したがって,北極からの距離は2sin18°,2sin36°,2sin54°,2sin72°,2sin30°,2sin45°,2sin60°,2sin90°のいずれかになるが,半径1の超球に内接する正5胞体の1辺は√(5/2)であり,このどれとも合わない.

===================================