■高次元の正多面体(その20)

【4】n次元正単体の二面角

 線分,三角形,四面体(三角錐)はそれぞれ最も簡単な1次元図形,2次元図形,3次元図形であるが,次元数nより1つ多い数の頂点によって作られる高次元図形を単体(シンプレックス)と呼ぶ.線分は一次元単体,三角形は二次元単体,三角錐は三次元単体とも呼ばれる所以である.

 n次元正単体の場合,

  頂点数: n+1,

  稜数:  (n+1)n/2,

  三角形数:n(n^2−1)/6

である.すなわち,各頂点からはn本の稜がでて,すべての頂点を結ぶと単体ができあがることになる.各頂点のまわりにはn(n−1)/2個の三角形,また,各稜のまわりにはn−1個の三角形が集まっている.

 n次元正単体の頂点の座標を

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

としよう.これらの頂点間距離は√2である.

 これらの座標が与えられたとき,残りの1点の座標は

  (x,x,・・・,x)

とすることができる.他の頂点との距離は√2であるから,

  (x−1)^2+(n−1)x^2=2

すなわち,

  nx^2−2x−1=0

を満たさなければならないことより,

  x={1−√(1+n)}/n

が得られる.

 n+1個の頂点:

  V1(1,0,・・・,0)

  V2(0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  Vn(0,0,・・・,1)

  Vn+1(x,x,・・・,x)

の中心座標(体心)は

  ((x+1)/(n+1),・・・,(x+1)/(n+1))

底面

  (1,0,・・・,0)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

の重心(面心)は

  (1/n,1/n,・・・,1/n)

それに隣接する面

  (x,x,・・・,x)

  (0,1,・・・,0)

  ・・・・・・・・・・・

  (0,0,・・・,1)

の重心(面心)は

  (x/n,(x+1)/n,・・・,(x+1)/n)

であるから,2つの連接する面心ベクトルは

  (1/n−(x+1)/(n+1),1/n−(x+1)/(n+1),・・・,1/n−(x+1)/(n+1))

  (x/n−(x+1)/(n+1),(x+1)/n−(x+1)/(n+1),・・・,(x+1)/n−(x+1)/(n+1))

より,面心間距離は

  cosθ=−1/n

二面角はその補角であるから

  cosδ=1/n

と計算される.n=2以外のときは4直角の整数分の1にならないが,これは正三角形による平面充填形(3,6)に他ならない.

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