■高次元の正多面体(その11)
(その10)では,n次元双対立方体と正単体の輪郭線処理を行ったが,その際,
a)n次元立方体(正2n胞体)は,
頂点数: 2^n,
稜数: 2^(n-1)n,
四角形数:2^(n-3)n(n−1)
からなっていて,各頂点のまわりにはn本の稜,n(n−1)/2個の正方形が集まっている.また,各稜のまわりにはn−1個の正方形が集まっている.・・・と書いた.
頂点数をf0,稜数をf1,面数をf2で表すことにすると,稜の両端にはそれぞれ頂点があり,四角形は四辺形であるから,頂点まわりの稜数は
2f1/f0=n
頂点まわりの四角形数は
4f2/f0=n(n−1)/2
稜まわりの四角形数は
4f2/f1=n−1
と計算されるというのがその根拠である.
b)n次元双対立方体(正2^n胞体)では
頂点数: 2n,
稜数: 2n(n−1),
三角形数:2n(n−1)^2/3
であるから,同様に,
2f1/f0=2(n−1)
3f2/f0=(n−1)^2
3f2/f1=n−1
より,各頂点からは2(n−1)本の稜がでる.各頂点のまわりには(n−1)^2個の三角形,また,各稜のまわりにはn−1個の三角形が集まっている.
c)n次元正単体(正n+1胞体)の場合,
頂点数: n+1,
稜数: (n+1)n/2,
三角形数:n(n^2−1)/6
である.これも同様に,
2f1/f0=n
3f2/f0=n(n−1)/2
3f2/f1=n−1
と計算される.すなわち,各頂点からはn本の稜がでる.各頂点のまわりにはn(n−1)/2個の三角形,また,各稜のまわりにはn−1個の三角形が集まっている.
□f2/f1=n−1(超立方体)
△f2/f1=n−1(双対立方体・正単体)
より,いずれの場合も,各稜のまわりにはn−1個の面が集まっているものと思われたのだが,このことが輪郭線処理に際して問題になった.
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問題点をもう一度説明しておきたい.
n次元立方体と正単体では1つの頂点からn本の稜がでる.そのうち1本の稜を定めると,その稜のまわりの(n−1)面上で,いま描こうとしている稜に平行なn−1本の線を求めることができる.
しかし,双対立方体では各頂点から
2f1/f0=2(n−1)
本の稜がでる.したがって,1本の稜を定めたとき,その稜のまわりの2(n−2)面上で,いま描こうとしている稜に平行な2(n−2)本の線を求めることができることになる.
このことが,稜まわりの面数
3f2/f1=n−1
と矛盾するのではないか? という点が問題となったのである.
n=3では,両者は,
n−1=2,2(n−2)=2
と偶然一致するが,一般のn次元では合致しないことは明らかである.実際に数え上げていくと,双対立方体では2(n−2)が正しいのであるが,なぜ一致しないのか,この原因についての理解を深めたいというのが,次回のコラムの狙いである.
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