■リーマン予想から深リーマン予想へ(その13)
[参]黒川信重「リーマン予想の先へ」東京図書
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【1】オイラーのゼータ関数(1737年)
1737年,オイラーは2つのゼータ関数を導入した.
[1]ζ(s)=Π(1−p^-s)^-1
=(1−2^-s)^-1・(1−3^-s)^-1・(1−5^-s)^-1・(1−7^-s)^-1・・・・
=1+2^-s+3^-s+4^-s+5^-s+・・・
[2]L(s)=Π(1−(−1)^(p-1)/2p^-s)^-1
=(1+3^-s)^-1・(1−5^-s)^-1・(1+7^-s)^-1・・・
=1−3^-s+5^-s+7^-s−9^-s+・・・
=Σ(4n+1)^ーs−Σ(4n+3)^ーs
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【2】メルテンスの定理(1874年)
Π(1−1/p)^-1=expγlogx
また,
Π(1,N)(1−1/2n)=Π(2n−1)/2n=(2N)!/2^2N(N!)^2
スターリングの公式より
Π(1,N)(1−1/2n)〜1/√πN
同様にして
Π(1,N)(1+1/(2n−1)〜√πN
以上により
Π(1,aN)(1−1/2n)〜1/√πaN
Π(1,bN)(1+1/(2n−1)〜√πbN
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【3】メルテンス型定理
Σ(1/p)はxに近い整数について,その素因数の個数の近似値を与えるもので,ハーディーとラマヌジャンにより明らかにされています.
12=2×2×3・・・素因数は3個
14=2×7・・・素因数は2個
16=2×2×2×2・・・素因数は4個
素因数の数はloglognにほぼ等しい.
メルテンス型定理とは
Σ(1/p)〜log(logx) (pはp≦xの素数を動く,証明略)
といったことを一般的に考えたものです.
4で割って1余る素数をp,4で割って3余る素数をqとする.
Π(1−1/p)^-1〜C√(logx)
Π(1+1/q)^-1〜/π4C√(logx)
p<x^a,q<x^bとすると
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/4・√(a/b)
a=b=1のとき
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/4(グレゴリー・ライプニッツ級数)
(1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・
a=2,b=1のとき
Π(1−1/p)^-1×Π(1+1/q)^-1=π/2√2
(1−1/5)^-1(1+1/3)^-1(1−1/13)^-1(1−1/17)^-1(1−1/29)^-1・・・
すなわち,素数の並び方を変えると絶対収束しない.積の順序はむやみに変更してはいかないのである.
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[比較]一般に,
1/1−1/2+1/3−1/4+・・・=log2
の項の順序を,正の項をm個,負の項をn個ずつ交互に並べ替えてできる級数の和は
log2+1/2・logm/n
となる.
[1]m=2,n=1→3/2log2
[2]m=1,n=2→1/2log2
いままでのリーマン予想研究では,オイラー積は絶対収束域内のみで意味をもつとされてきたが,「オイラー積をそのまま考えよう」ということはたとえ絶対収束でなくても意味をもつということなのであろう.
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