■アルキメデスと積分法(その17)

 断面の形が正方形の四角柱を中心軸が直交するように相貫させると,共通部分は立方体となる.2本のときでも3本のときでも立方体である.しかし,半径が等しい2つの円柱を中心軸が直交するように相貫させたとき,その共通部分がどのような形になるのか,頭の中で想像するのもなかなか難しい.

(Q)2本の円柱が直角に交わっているとき,共通部分の体積はいくらか.

(A)直角の交差する2本の円筒がテーブルの上に横にして置かれているとしよう.どちらの円筒にも球を入れることができるから,2本の共通部分は球より大きく,球を正八面体状に膨らましたものになる.

 共通部分に球を入れたまま,テ−ブルに水平な平面で2本の円筒を切断すると,切り口は球に接する正方形になる.円とその外接正方形の面積比はπ:4であるから,カバリエリの原理により,球の体積の4/π倍であることがわかる.単位球であれば

  4π/3×4/π=16/3

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 アルキメデスは円柱の直径をdとするとその体積は

  2/3d^3

になることを知っていたようである.円柱を3本にすると同じように得られる曲面立体についてはより複雑になる.

(A)半径が等しい3つの円柱を中心軸が直交するように相貫させたとき,その共通部分は立方八面体の双対である菱形12面体を丸く膨らましたような形で12の曲面で囲まれた立体になる.その体積は円柱の直径をdとすると

  (2−√2)d^3

になる.

(A)半径が等しい4つの円柱を中心軸が正4面体の対称性をもって相貫させたとき,その共通部分は菱形立方八面体の双対である凧型24面体を丸く膨らましたような形で24枚の側面をもつ.その体積は円柱の直径をdとすると

  3√2/2(2−√3)d^3

になる.

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