■18世紀における微積分(その14)
またまた、「解析学大要」改訂版よりの問題
I=∫1/sqrt(x(1-x)) dx を求める。
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[1] t=sqrt((1-x)/x) とする。
x=1/(t^2+1) , dx=-2t/(t^2+1)^2 dt
I=∫(1/x)sqrt(x/(1-x))dx = -2∫1/(t^2+1) dt
= -arctan t = -2 arctan(sqrt((1-x)/x))
[2] t = x-1/2 とする。
x=t+1/2
I=∫1/sqrt((1/2+t)(1/2-t))dt = arcsin 2t = arcsin(2x-1)
[3] t=(sin t)^2
dx = 2sin(t)cos(t) , t=arcsin(sqrt(t))
1/sqrt(x(1-x)) = 1/(sin(t)cos(t))
であるから、
I=∫2 dt = 2t = 2arcsin(sqrt(x))
これらの答えは、定数の差を除いて、一致する。
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以上、不定積分は、いろいろな解法があるのであるが、あまり深みにはまるのもよくないかもしれない。
ネタの本は20年前のものである。今の大学の教科書は、このようにこった問題はないだろう。
[1]第一に、ほかに教えなければいけないことがいっぱいある。
[2]第二に、係数、変数を複素数に拡張すれば、
sqrt(x^2-a^2)、sqrt(x^2+a^2)
の不定積分は同じになる。三角関数は、逆三角関数は、指数関数に帰着される。そういうことを考えると、不定積分のパターンは驚くほど、少なくなる。
[3]第三に、数式処理システムで、結構、不定積分、定積分をよく計算してくれる。
よって、不定積分の技巧は、私が学生のころにくらべて、重要性がなくなったとおもう。
そういえば、昔は、複素解析の留数の理論をつかって、いろいろな定積分を計算した覚えがあるが、最近の教科書にはのっていないようだ。 (阪本ひろむ)
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